1953年東京生まれ。1977年東京都立大学人文学部フランス文学科を卒業。1983年仏Ecole du Louvre(ルーヴル美術館大学)修士課程修了。1985-91年東京都庭園美術館キュレーター。旧朝香宮邸である同美術館で、アール・デコ装飾の復元に力を注ぎ、建物の魅力を生かしたフランス美術中心の展覧会を担当。1991-97年水戸芸術館現代美術センター芸術監督。欧米の最先端現代美術展を企画するとともに、日本の若手芸術家や、中国・韓国など発展前夜のアジア・アートシーンの紹介にも注力。1997年TOSHIO SHIMIZU ART OFFICEを設立して後、企業や芸術家との協働しで数々のパブリックアート設置を実現。各種イベントのアートマネジメント、現代美術の普及・教育に従事する。2000年「上海ビエンナーレ」芸術監督。ライフワークとしてパリで活躍した画家・藤田嗣治の研究を続ける。
美術評論家連盟常任委員、東京都現代美術館美術資料収蔵委員会委員、日仏美術学会会員、財団法人徳間記念アニメーション財団評議員、美術史学会会員、国際博物館評議会会員。
フランスではキュレーターはオーケストラの指揮者に例えられます。
パブリックアートのキュレーションでは
アーティスト、クライアント、建築家、デザイナーなど様々な人々が演奏家であり
そこからアートワークを指揮者であるキュレーターが交響曲を指揮するようにつくり上げていきます。
パブリックアートの目的は街づくりです。
どのような街にしたいか、アートでどのように街を変えることができるか、
それがいつも、パブリックアートを仕掛けるときにキュレーターに課せられる命題です。
そのためにその街の文脈を考え、ふさわしいアーティストとコラボレーションをするのです。
情報が氾濫し、AIが発達することで社会がタコツボ化してきている現代ですが、
その状況が新型コロナウイルスの蔓延によって加速しています。
リモートワークによるストレス、人間は分断されると不安定になります。
そういうときに、みんなが共有できる体験として、パブリックアートの可能性を信じます。
開放的なパブリックスペースでアートに触れ、感性を刺激されます。
そこには、アートを通じた人と人とのふれあいが生まれます。
駅、ビル、広場、公園……。
様々な公共の場にアートという気づきを置く。
これは何だろう?
人は、自分が理解できないものを見ると、想像力を働かせます。
その思考を日常的に経験していれば、煮詰まることは少なくなるのではないでしょうか。
子どもの頃から日常的にアートに触れていると、人間の考え方に幅ができると思います。
現代美術はむずかしいと言われるけれど、むずかしいのではなく、新しい体験なのです。
子どもは無邪気です。近づきたい、さわってみたい、
子どもに受け入れられるかどうかが、そこにアートがある意義を問うひとつのバロメーターになっています。
日常の中に非日常がなかなかつくれない昨今、
アートは暮らしの中に日常と非日常という二面性を生み出し、人生を豊かにします。
いつもの街にずっといてくれる非日常が、パブリックアートなのです。
TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE
アーティスティック・ディレクター 清水敏男










