ZOKZOK Experiment Report / 実験記録

ZOKZOKクラフトビールを考える小さな実験 #01 実験レポート

完了 EXPERIMENT 開催日:2026年5月29日 レポート作成日:2026年5月30日 会場:実験施設 ZOKZOK 1F 縄文サロン

2026年5月29日、実験施設 ZOKZOK 1F 縄文サロンにて、「クラフトビール」を入口にした小さな実験を実施しました。

今回の実験では、ビールそのものを評価することではなく、「ローカル文化」「人の関係性」「街との関わり方」が、どのように会話や空間の中に立ち上がるのかを観測しました。

作る人、届ける人、飲む人、デザインする人が同じ場に集まり、6種類のクラフトビールを飲み比べながら、創成イーストらしい文化のあり方について対話を重ねました。

このレポートは、その場で起きたことを記録し、次の実験へつなげるための documentation です。

ZOKZOKクラフトビールを考える小さな実験 #01 実験レポート
ZOKZOK Experiment Reportは、実験の成功/失敗を判定するためのものではありません。起きたことを観測し、そこから見えてきた気づきや課題を整理し、次の一手へつなぐための記録です。実験を一過性の出来事で終わらせず、次にまた始められるための心理的資本として、場に蓄積していきます。

実験概要

参加人数
17
BOOST数
3
実験資金
69,000
ZOKZOK LEVEL
145%

実験後の結論サマリー

今回の実験では、「クラフトビール」が単なる飲食ではなく、人と街、文化と会話をつなぐ入口として機能する可能性が見えてきました。

一方で、継続的なローカルプロジェクトとして成立させるためには、販売、運営、収支、記録など実務的な設計も必要になります。

現時点で、「創成イーストらしいビール」の答えはまだ見つかっていません。

しかし今回の実験を通じて、味そのものよりも、人との出会い、会話、背景にある物語が、この街らしさを形づくっていることが見えてきました。

また、作り手、届け手、デザインする人、場を運営する人が同じテーブルについたことで、ビールを「商品」としてだけではなく、地域文化を編集する実験として扱うための輪郭も少しずつ見え始めました。

次回は、場所、時間、食事、音などの条件を変えながら、ビールを入口にしたローカル文化の実験を継続していきます。

今回の問い

クラフトビールは、単なる飲食ではなく「地域文化の会話装置」になり得るのか。
創成イーストという街の空気や関係性は、どのような形で味・デザイン・体験へ翻訳できるのか。
「イベント」ではなく、継続するローカル実験として成立させるには、どのような構造が必要か。

実験の内容

会場では、北海道内外の6種類のクラフトビールを用意し、参加者同士で飲み比べを行いました。

最初に銘柄や背景情報を伏せた状態でブラインドテイスティングを実施し、その後にブルワリーやビールスタイル、開発背景を共有する構成を採用しました。

ゲストには、北海道のクラフトビール流通や文化に関わる松井広行氏、グラフィックデザイナーの佐藤暢孝氏を迎え、以下のテーマについて対話を行いました。

  • クラフトビールとは
  • 小規模醸造の醍醐味
  • 味とデザイン
  • 小規模ロットならではのパッケージデザイン
  • 「創成イーストらしさ」とは何か
  • クラフトビールの楽しみ方や、共同で製作する楽しみ

また、Streetlight Brewing 代表の大阪匡史氏も参加し、作り手側の視点から、ビールづくりの考え方や、デザイン・販売との連携についても意見交換が行われました。

これにより、飲み手、届ける人、デザインする人、作る人の視点が同じ場に並び、ZOKZOK・創成イーストのビールを考えるうえで必要な論点がより具体的に共有されました。

さらに終了後には、空山雅一氏 監修による「音と味覚」の実験も実施し、音環境によって味覚の印象が変化するかを参加者とともに観測しました。

会場では大型モニターに実験レポートを表示しながら、その場で参加者と記録を整理・追記する形式も試験的に導入しました。

 

試飲ビールラインナップ

No Beer Brewery Style / 特徴
1 Dark Cherry San Dark Cherry San Streetlight Brewing
ダークチェリー系 Sour Ale
2 ZOIGL-WEISS ZOIGL-WEISS ZOIGLHAUS Brewing Company
German-style Wheat Ale
3 SECTOR 7 SECTOR 7 Von Ebert Brewing
Hazy India Pale Ale
4 Echo Flora Echo Flora Streetlight Brewing
Dry Hopped Saison
5 Sierra Nevada Pale Ale Sierra Nevada Pale Ale Sierra Nevada Brewing
American Pale Ale
6 mountainman IPA mountainman IPA Streetlight Brewing IPA

観測されたこと(事実・反応・変化)

参加者
ブラインドテイスティングでは、多くの参加者がビールのスタイルや特徴を正確に当てることができませんでした。
一方で、銘柄やデザイン、背景情報を共有した後には、味の印象や好みに関する会話が活発になりました。
同じビールであっても、温度変化や時間経過によって味の感じ方が変化したという発言が複数見られました。
普段クラフトビールを飲み慣れていない参加者からも、少量ずつ比較することで違いを感じやすかったという反応が見られました。
コミュニケーション
ビールそのものの話題から始まり、デザイン、地域性、文化、まちづくりへと会話が広がっていきました。
参加者同士が互いの体験や価値観を共有する場面が多く見られ、ビールが会話の入口として機能していました。
Streetlight Brewing 代表の大阪匡史氏が参加したことで、作り手側の視点が加わり、味やデザインだけでなく、醸造、販売、継続性まで含めたディスカッションが生まれました。
特に、オリジナルビールを考える際には、ラベルやコンセプトだけではなく、どのような味をつくるのか、どのように届けるのか、誰が継続的に関わるのかを同時に考える必要があることが共有されました。
空間
大型モニターを用いて記録を可視化したことで、参加者が単なる来場者ではなく、実験の共同記録者として関わる状態が生まれました。
運営
ビールのサーブの際に、間が見えな工夫を施しブラインドテイスティングをすることで、6種類のビールをフラットにテイスティングすることができました。

見えてきたこと(気づき・可能性・希望)

味はビールだけで決まらない

温度、デザイン、会話、音環境、誰と飲むかといった周辺要素によって、同じビールでも印象が変化することが確認されました。
味覚はレシピだけではなく、体験全体によって構成されている可能性が見えてきました。

クラフトビールは会話の入口になり得る

参加者はビールの評価だけではなく、その背景にある地域性やストーリーについて語り始めていました。
クラフトビールは飲料そのものではなく、人と人をつなぐ媒介として機能する可能性があります。

創成イーストらしさは未完成の状態にある

「創成イーストらしいビール」の答えはまだ見つかっていません。
しかし、異なる背景を持つ人々が集まり、それぞれの視点を持ち寄る状態そのものが、この地域の特徴である可能性が見えてきました。

作り手・届け手・デザイン・場が同時に関わる必要がある

今回の対話を通じて、ローカルビールを考える際には、味を決めることだけでは不十分であることが見えてきました。
どのような文脈でつくられ、どのようなデザインで届けられ、どの場所で誰に飲まれるのか。
その全体を設計することが、創成イーストらしいビールを考えるうえで重要な論点になりそうです。

見えてきた課題(改善点・前提確認・再構成)

企画 重要
クラフトビールに馴染みのない参加者との接続方法
今回の参加者にはクラフトビール愛好家だけでなく、人との出会いや地域文化に関心を持つ参加者も含まれていました。
今後継続するためには、専門性を高めるだけでなく、初参加者でも入りやすい入口設計を検証する必要があります。
コスト 重要
ビール開発の理想と収支構造の整理
創成イーストオリジナルビールの可能性について議論が行われましたが、開発・流通・販売・記録まで含めた運営設計は未整理です。
継続的なプロジェクトとして成立させるためには、収支構造や役割分担の整理が必要です。
運営 重要
作り手・販売・デザイン・記録の役割整理
今回、作り手側、流通側、デザイン側、ZOKZOK側が同じ場で話すことで、具体的な論点が見え始めました。
一方で、実際に開発へ進む場合には、それぞれがどこまで関わるのか、誰が意思決定を担うのか、どの範囲を公開し、どの範囲を内部で整理するのかを明確にする必要があります。

次に試すこと(次の一手・仮説・継続)

次のPROJECT
飲む場所を変えてみる
屋外、温泉後、朝の時間帯など、環境条件を変えた場合に体験がどう変化するかを観測する。
次のPROJECT
ビールと食のペアリング実験
クラフトビールと地域の食文化を組み合わせ、味覚や会話がどのように変化するかを検証する。
次のPROJECT
音と味覚の継続実験
同じビールを異なる音環境で体験し、味覚への影響を継続的に観測する。
次のPROJECT
創成イーストオリジナルビールの検討
ビールを商品としてではなく、地域文化や人の関係性を可視化する装置として捉え、開発条件や運営方法を整理する。
パートナー
札幌の文化・芸術活動との接続
ダンス、演劇、音楽、アートなど、札幌の文化活動とビールを掛け合わせることで、新たな参加の入口をつくれるかを検証する。
パートナー
作り手・届け手・デザイン・場のチーム設計
今後、オリジナルビール開発を検討する場合には、ブルワリー、流通、デザイン、ZOKZOK、地域関係者がどのように連携するかを整理する。

今後の展開

  • 創成イーストオリジナルビールの方向性整理
  • ブルワリーとの具体的な開発条件確認
  • 継続実験としての収支構造の検討
  • 「シリーズ型ローカル実験」としての運営設計
  • 記録共有フォーマットの改善
  • ZOKZOK JOURNALとの連動強化
  • ビール以外の「街の入口」との接続実験

参加者の声

最初はビールの違いを当てるのは難しいと感じましたが、飲み進めるうちに、温度や時間、一緒に飲む人によって印象が変わっていくのを感じました。
デザインを見たあとに味の印象がつながる場面もあり、ラベルと味の関係性も面白かったです。
人と同じように、ビールも知っていくほど魅力が変わっていくのだと思いました。
- Aさん
普段はあまりお酒が強くないので、たくさんの種類を一度に飲み比べる機会は少ないのですが、少しずつ飲むことで、それぞれの違いがよく分かりました。
クラフトビールは、喉越しだけでなく、時間をかけてちびちび飲みながら味の変化を楽しめるものなのだと感じました。
ラベルやデザインの話も聞けて、クラフトビールの新しい魅力を知ることができました。
- Bさん
最高の一杯、最良の一杯をつくることは、とても難しいのだと感じました。
温度、時間、誰と飲むのか、どんな情報を先に知っているのかによって、同じビールでも味の印象が変わっていく。
だからこそ、ビールをつくるときには、味だけでなく、ヒストリーやストーリー、伝え方まで含めて考える必要があるのだと思いました。
- Cさん

クレジット

主催 / 実験施設 ZOKZOK
企画・ディレクション / 渡辺 元佳(ZOKZOK 2F)/ 吉橋稚乃(コヤノナカ)
ファシリテーション / 吉田 貫太郎(実験施設 ZOKZOK/合同会社Goodies)
クラフトビール製作・流通 アドバイザー / 松井広行(合同会社北海道クラフトビールアソシエーション)
パッケージ・グラフィックデザイン アドバイザー / 佐藤 暢孝(EXTRACT.inc)
ブルワリー参加 / 大阪 匡史(Streetlight Brewing)
協賛 / WA! Co.,Ltd.
会場協力 / 一般財団法人 縄文芸術文化財団 | 縄文サロン

実験施設 ZOKZOK

ZOKZOK Experiment Report について

ZOKZOK Experiment Report は、実験施設 ZOKZOK で行われた小さな実験の記録です。

完成された結論や成功/失敗の判定ではなく、その場で起きたこと、参加者の反応、空間の変化、そこから見えてきた気づきや課題、次に試したい一手を記録し、次の実験へつなげるために作成しています。

ZOKZOKでは、こうした記録を、実験を一過性の出来事で終わらせないための documentation として位置づけています。
観測し、意味づけ、再構成し、次の一手を見つけること。
その積み重ねが、もう一度はじめるための心理的資本として、場に蓄積されていきます。

Rights / Usage

本レポートに含まれる文章、写真、図版、記録データ、構成、デザイン等の著作権は、実験施設 ZOKZOK または各権利者に帰属します。無断での複製、転載、改変、配布、公開、商用利用は、著作権その他の権利を侵害する場合があります。

Collaboration

本レポートの内容、記録データ、写真、実験結果等の使用・転載・提供、または共同研究、商品開発、企業研修、地域プロジェクト等でのコラボレーションをご希望の場合は、事前に実験施設 ZOKZOK までお問い合わせください。

実験施設 ZOKZOK |info@zokzok.art|https://zokzok.art
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